世界的なチップ・ブームを反映するファウンドリ拡張とウェハ出荷量
EETimes
2021年5月6日
世界の半導体メーカーは、工場拡張や稼働率に関する詳細には口を閉ざすが、それでも予測関係者は、主にメモリー需要の復活に牽引され、「前工程」の設備容量は着実に成長すると予測している。
業界団体SEMIによると、政府の手厚い優遇措置の恩恵を受けているアジアのチップメーカーは、依然としてファウンドリー新設に最大の投資を行っている。一方、Intel社をはじめとする欧米のICメーカーは、台湾積体電路製造(TSMC)やSamsung、中国の新興メーカーに追いつこうと躍起になっている。
例えば、Intelの200億ドル規模のファウンドリー拡張計画一の環として、チップメーカーは、リオ ランチョ(ニューメキシコ州)の施設で35億ドルの拡張を発表したばかりである。Intelは今週、この投資によって先進ICパッケージング事業、特にFoveros3Dパッケージング技術を拡大すると発表した。
この努力は、ICパッケージング技術革新により戦略的チップ製造を復活させるという米国の新たな戦略の下支えと見る向きもあるだろう。
今のところ、SEMIはメモリ技術が世界的な工場拡張の原動力になると予測しており、今年は5%、2022年には6%の成長を見込んでいる。主な推進要因としては、3D NANDが2021年に9%増、来年は11%増となる。一方、DRAMの生産能力は今年7%、2022年には5%増加すると予測されている。
SEMIはまた、2021年第1四半期のシリコンウエ―ハ面積出荷が前四半期比4%増の約34億インチ2となり、過去最高を記録したと報告した。これまでの最高は2018年第3四半期に記録されたものである。一方、1Qのシリコンウエ―ハ出荷量は、前年同期に記録した29億インチ2以上から前年同期比で14%急増した。
信越半導体アメリカン社の製品開発・アプリケーションエンジニアリング担当副社長で、SEMIのシリコン製造業者グループ会長を務めるニール ウィーバー氏は、「ロジックとファウンドリ(の拡大)は、引き続きシリコンウェーハの旺盛な需要を牽引している」と述べた。
「メモリ市場の回復は、2021年第1四半期の出荷増をさらに後押しした」とウィーバー氏は付け加えた。
SEMIのエドウィン・ホール氏はインタビューで次のように付け加えた。「メモリは今後も成長を続けるでしょう。特にデータセンター、自動車、モバイルデバイスなど、さまざまな分野で重要な役割を果たすからです。」
米国の半導体製造業復活の明白な兆候がある一方で、Intelなどの企業は依然として中国、台湾、韓国のライバル企業に大きく出費を奪われている。IC Insightsは最近、中国のセミコンダクター マニュファクチャリングインターナショナル社がインフラ投資の大半を占め、ファウンドリーリーダーのTSMCがそれに続いたと報告している。
戦略国際問題研究所の技術・公共政策プログラム ディレクターであるジェームズ ルイス氏 は、「アジアにおける半導体製造の経済性は著しく有利であり、政府によるインセンティブがコスト優位性の45〜70%を牽引している」と指摘する。
ルイス氏は、米国のチップ製造業を復活させるための法案を作成する際、議員たちは、 この現実を念頭に置く 必要があると主張する。